
待つことは悪いことではない――実はウェルビーイングを高めてくれる
公開日 : 2026年9月12日
待つことは退屈になりがちです。だからこそ私たちは、たいていあらゆる手を尽くしてそれを避けようとします。待たなければならない時間を、ソーシャルメディアをスクロールしたり、ニュースを読んだり、ポッドキャストを聞いたりと、頭を忙しくしておくための何かで埋めてしまうのです。
しかし、待つことが常に悪いとは限りません。研究によると、待つことは自制心を高めるため、有益になりえます。自制心は、多くの社会的、認知的、そして心の健康に関わる成果にとって重要な能力です。
自制心とは、長期的な目標と目先の誘惑がぶつかったときに、自分の思考、感情、行動をコントロールする能力を指します。
自制心は、学習、意思決定、パフォーマンス、人間関係、ウェルビーイングに影響するため、学校でも職場でも幅広く重要です。こうした場面で誘惑に抵抗するためには、このスキルが鍵となります。
待つことができるかどうかは、自制心が試される重要な場面の 1 つです。
衝動のままに行動しないこと――待つことは、思いつきと行動の間に距離を置き、自制心を発揮する助けになります。写真:Brett Jordan(Unsplash)
たとえば、腹の立つメールに返信を書く前に、少し間を置くこともその 1 つです。あるいは、健康的な食生活を心がけているときに、体に良くない食べ物の誘惑に抵抗することかもしれません。どちらも自制心を発揮し、衝動と行動の間に距離を置く例です。
研究によると、前もって食事を注文しておく、買い物をする前に少し待つといった短い遅延や間を置くことでさえ、衝動を冷まし、長期的な目標を優先するのに役立ちます。
心理学研究のさまざまな分野で自制心が注目されているにもかかわらず、待つこと自体を独立した概念として扱った研究は、それほど注目されてきませんでした。それでも、このテーマに関する数少ない研究は、待つことにも同様の効果があることを示しています。
たとえば、コーチングの対話において沈黙がどのような効果を持つかを調べた研究があります。ここでの沈黙は待つことの一形態です。質問された人が答える前に間を置くと、自分の考えを整理する余裕が生まれます。それによって、自分がどう感じているかをより深く理解したり、記憶を掘り起こしたり、混乱していることに光を当てたりすることさえできます。このように、沈黙は、よりよく聞くための間であれ、自己防衛であれ、内省の機会であれ、コミュニケーションにおいて明確な役割を果たしています。
待つ時間は、内省のための余裕を生み出します。自分の行動、感情、経験を振り返る機会を持つことは、アイデアや、より深い集中力、創造性を生み出すきっかけになります。
待つ時間をどう感じるかには、個人による違いや文化による違いが数多くあります。刺激を求める脳にとっては、待つことは不快で、いら立たしいものにもなりえます。また、待つことを受け身で非効率なものと捉える文化もあれば、力強く、人を変える力を持つものと考える文化もあります。
こうした違いがあるため、待つことの受け止め方や実践の仕方はさまざまで、その効果もさまざまな形で表れます。
待つことの価値
自制心を身につけ、衝動に抵抗し、待っている時間を味わうことから得られる恩恵を手にするには、待つことの価値を認識する必要があります。
ここでは、自分自身のウェルビーイングのために、より意識的に待つことを実践するための、ポジティブ心理学に基づいたヒントを紹介します。
1. 味わう
イベントのチケットを買って、イベントそのものよりも、それを心待ちにしている時間の方が楽しかったという経験はありませんか。あるいは、友人との夏休みまでの日数を指折り数えてわくわくしたことは?
何かわくわくすることを心待ちにしているとき、喜びの一部は待つことそのものの中にあります。研究によると、楽しみにしていることを味わうことで、喜びを長続きさせることができます。
それについて考えるたびに、小さな喜びがはじけます。コンサートや旅行など、心待ちにしているイベントを思い描くと、待つことは障害というよりも、体験の延長のように感じられるようになります。
2. 感謝
人生には、待つしかない場面がたくさんあります。たとえば、検査結果について医師から連絡が来るのを待っているときなどです。しかし、こうした時間は感謝の気持ちを抱く機会にもなりえます。
立ち止まって自分が感謝していることを振り返ると、待つ時間は、いら立ちや不安を感じる時間から、ありがたさを感じる時間へと変わっていきます。
3. 意味づけ
待つことを不便なものと見なすのではなく、捉え方を変えてみましょう。
今度、渋滞に巻き込まれたり長い列に並んだりしたときは、それを不便だと考えるのではなく、捉え方を変えて、休んだり、一息ついたり、振り返ったりする機会だと考えてみてください。状況の捉え方を変えることで、その体験が変わることがあります。
待つことを目的意識と結びつけると、待つことに方向性と意味が生まれます。
4. マインドフルネス
いら立ちを覚える待ち時間は、マインドフルネスを実践するきっかけになりえます。マインドフルネスとは、今この瞬間に十分な注意を向け、好奇心と受容の姿勢でそれを見つめることです。
自分の内側と周囲で起きていることに意識的に気づくことで、いらいらする状況を、ちょっとした自己点検と充電の機会に変えることができます。この小さな実践は、リラックスして感情を整える助けとなり、ウェルビーイングの向上にもつながるかもしれません。
だからといって、座って待つ機会をもっと増やすべきだと言っているわけではありません。そうではなく、どうしても待たなければならない時間に価値を見いだし、その時間を意識的に、より過ごしやすく楽しいものにしようということなのです。
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